パワハラ可否認定の7つのポイント

プチ知識

今回は皆様からの疑問の声で多かった『ハラスメント事象の判断』についてまとめていきます。ハラスメント調査をしたけれども、ハラスメントに当たるか分からない。実際の声は以下のようなものが多かったです。

ハラスメント委員会のメンバーですが、ハラスメント事象かどうかの判断が分かりません。どのようなポイントで判断したらよいのか教えてください!

ハラスメント事象かどうかの判断については7つのポイントを理解すると的確に判断することができます!

主観的な判断ではなく、ポイントがあるのですね。ありがとうございます!勉強してみます!

見ていくポイントはつ。

それでは、つのポイントを見ていきましょう!


重要な法的配慮

ポイントを見ていく前に重要なことをお伝えいたします!

労働契約法第5条 安全配慮義務

使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。


民法第715条 使用者責任

民法第715条第1項
ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、または相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

上記の法的根拠に基づき、労働者のハラスメント事象の申し出に対して、中途半端な調査納得のできない調査を行うと、労働者の身体等の安全が確保されず、賠償金の支払いを命じられることもあります。

したがって、適切で納得感のある調査をするために、7つのポイントを押さえて調査していくことが重要となります!

ハラスメント可否認定の際の7つのポイント

それでは説明していきます。


ポイント①言動の目的 ②行為者の言動に至った相談者の問題の有無

まずは①と②についてです。

①言動の目的

行為者の言動の目的が、気に入らない社員に対しての嫌がらせ退職目的でないかを確認していきます。

聴取対象は行為者・第三者となります。

②行為者の言動に至った相談者の問題の有無

なぜ行為者がその言動に至ったのか、相談者の勤務態度繰り返される問題の有無を確認していきます。

繰り返されるミスや就業規則違反の指摘を受けていた場合は、たとえ厳しい叱責であったとしてもパワハラに該当しないことが多いとされています。

聴取対象は行為者・第三者となります。


ポイント③業種・業態 ④内容・性質

③業種・業態

医療現場等の生命に関わる業種においては、通常よりも強い叱責であってもパワハラに該当しないと判断されることがあります。

聴取対象は相談者となります。

④内容・性質

労災の危険がある安全面からの叱責は、パワハラに該当しないと判断されることがあります。

聴取対象は行為者となりますが、安全面の指導であったかを第三者から客観的に聴取することも重要です。


ポイント⑤言動の態様・頻度・継続性 ⑥労働者の属性や心身の状況 ⑦行為者との関係性

⑤言動の態様・頻度・継続性

行為が大勢の前で行われたのか、長時間行われたのか、幾度も行われたのかを確認していきます。

大勢の前での叱責はパワハラに該当されることがあり、長時間の指導は何分という明確な基準はないものの30分を超える叱責は態様が相当でないと判断されることもあります。また、1回のミスに対して何度も叱責することも態様が相当でないと判断されることがあります。

聴取対象は行為者となりますが、状況によっては第三者に確認することもあるでしょう。

⑥労働者の属性や心身の状況

うつ病等の心身状況を考慮していない厳しい叱責はパワハラと判断される可能性があります。

聴取対象は行為者となります。行為者が相談者の心身状況を把握していたかが問われます。

⑦行為者との関係性

普段からの双方の関係性が良好であった場合はパワハラ判断に考慮される材料となります。

その案件以降関係性が崩れている場合は、現在の関係性を見るのではなく、その行為直前の関係性が判断材料となります。

聴取対象は行為者・相談者となりますが、第三者から見た関係性も確認していた方が良いでしょう。


まとめ

この7つのポイントをパワハラ調査員が事実を正確に聴取することで、パワハラ可否認定が適切に行われることができます。

正確な調査は相談者-行為者の双方を守ることにつながり、さらに企業を守ることにもつながるため、この7つのポイントはしっかり押さえておきましょう!

また、判例法理等もパワハラ可否認定の判断材料となります。

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